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建物・設備の劣化

 

物理的な劣化

人間と同じように、建物も古くなればあちこち傷みが目立つようになります。雨漏り、ひび割れ、汚れや腐食といった皮膚や骨格にあたる部分の劣化、配管の閉塞・腐食や設備機器の磨耗・故障といった臓器にあたる部分の劣化により快適さが失われ、維持保全に多大なコストがかかります。メンテナンスや修繕は劣化の度合いを遅らせるもので、時間とともに進行するこのような劣化をくいとめることはできません。

社会的な劣化

省エネ・省資源といった技術の進歩、社会の変化に伴う法改正・法整備、環境保全、建物利用者の要求レベルの変化といった社会的な要求も時とともに増大してゆきます。新築当時はこれらの要求をすべて満たしていた建物も陳腐化してゆくことは避けられません。

点検・メンテナンス・修繕

設備を長持ちさせるためには、点検(劣化の具合を調べる)、メンテナンス(最適な状態を維持する作業)、修繕(劣化部分を取替え等によって使用に耐えうる状態にする作業)をこまめに行うことが必要です。点検には安全を確保するための「法的規制による定期点検」と自主的に行う点検があります。


リニューアルの動機・必要性

 

建物の使用に耐える限界はメンテナンスや修繕によって伸ばすことができます。たとえば雨漏りの部分防水修理、機械の部品交換、配管漏水個所の部分修理などです。しかしこのような部分修理ではいつまた事故が起こるか予測がつかず、水損被害などの虞がなくなりません。しかも修繕費もかさみます。また古い設備機器やシステムは老朽化により満足な室内環境の維持ができなくなり、最新のものに比べると効率が悪く経済的ではありません。自社ビルの場合は我慢できても、テナントビルではお客様が離れてゆくということにもなりかねません。
こうした劣化による費用の増大を回避するとともに建物に要求されるレベルを満たし、資産の有効活用と価値の向上を図ろうとすれば、リニューアル(リノベーション、リモデルとも言われます)が必要となります。


リニューアルの要点

 

建物・設備は大切な経営資源であり、その運用コストと効用の最適化を図らなければなりません。耐用限界レベル、要求レベル、コスト等の要素を考慮し、建物のライフサイクルの中でどの時期に何をリニューアルすべきかを計画し、適切な時期に実行に移すことがコスト低減の要素として重要なファクターを占めます。また、建物の新築から取壊しまでにかかる総コスト(ライフサイクルコスト:LCC(Life Cycle Cost))のうちで、設備関連の占める割合は一般に50%にも及ぶので、リニューアルにおける設備システムの選択はその後のコストに大きく影響します。

設備システムに関して考慮すべき事項は
法規制への適合: 建築基準法、消防法、ビル管理法…
快適さの向上: 室内環境(温湿度、騒音・振動、臭気、塵埃等)美観(トイレ、事務室等の内装)適切な照明、リフレッシュルーム・パウダールームの設置、飲料水処理、…
省エネ・省力: 高効率機器、高効率運転制御、搬送動力の低減(大温度差、変流量等)、個別空調、排熱利用、集中監視管理システム、省メンテナンス機器…

経済性:

省エネ・省力、蓄熱システム等安価なエネルギー利用、省スペース、補助金、特別融資、税制優遇、…
安全性・信頼性の向上: 耐震補強、分散化、低故障率・長寿命機器資材
環境への配慮: リサイクル、ノンフロン、雨水利用、中水道、屋上緑化、コジェネレーション、自然エネルギー利用、…

 

中規模事務所ビルのライフサイクルコスト

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