グリーン調達用語解説

平成12年10月
須賀工業株式会社
技術研究所 柳村 暁


LCA(ライフサイクルアセスメント)

LCAとは、一つの製品が、その原材料取得段階から、製造、流通、使用そして最終的に廃棄処理されてその使命を終えるまでの全生涯(ライフサイクル)に及ぶ社会への影響、特に環境影響をすべて算出し、総合的な見地から環境負荷の少ない製品開発を進めるために、定量的に分析・評価する手法である。

LCAは、

@目的及び調査範囲の設定
Aインベントリ分析
B環境評価
C解釈

の4つのステップからなる。@は、LCAを実施する目的とその調査範囲を明確にする。Aでは、LCAの対象となる製品やサービスに関して、投入される資源やエネルギー(インプット)及び生産または排出される製品・排出物(アウトプット)のデータを収集し、明細票を作成する。Bは、インベントリ分析で得られた環境負荷データ明細票を元に、地球温暖化や資源消費などの各カテゴリーへの影響を、総合的に評価し、環境に与える影響を定量的に評価する。Cでは、設定した目的に照らし、インベントリ分析や環境評価の結果を単独にまたは総合して評価、解釈する。

LCAは、製品などの環境負荷を評価する有効な手法であると認識され、国際標準化のため、1997年には、ISO14040(環境マネジメント‐ライフサイクルアセスメント‐原則及び枠組み)として国際規格になり、我が国でもJISQ14040が制定されている。

LCCO2

地球環境問題の一つである地球温暖化の主要因が、人類の活動に伴う二酸化炭素の排出によるものとされている。また、建築・設備のライフサイクルは、企画・設計、初期建設、運用(光熱水、保守管理、修繕)、改修、廃棄されるまでの期間であり、この期間中に、各種の資材やエネルギーを消費することによって、結果的に大気にCO2などの温室効果ガスを排出する。

そこで、建築・設備のライフサイクルにおいて、二酸化炭素の排出量を考えようというのが、LCCO2であり、生涯二酸化炭素放出量とも言い、地球環境に及ぼす影響を定量的に評価する手法の一つに用いられる指標である。建築・設備の分野では、経済性評価の手段としてLCC(コスト)が、従来から利用されてきたが、これに対してLCCO2は、環境負荷評価に用いられる。具体的には、機器類に関しては、機器能力からCO2排出量算出式により、建設分のCO2排出量を算出する。ダクト・配管は、CO2排出量原単位にダクト面積、配管重量を掛けて建設分のCO2排出量を算出する。また、エネルギーについては、CO2排出量原単位にエネルギー消費量を掛けて、運用におけるCO2排出量を算出する。ある試算例では、LCCにおいては建設後にかかる費用は全体の70%であるが、LCCO2では建設後の負荷は、全体の84%に及び、特に運用に伴うエネルギー消費が全体の63%を占めている。これは、設計時に、建築の生涯全体を考える必要があることを示している。また、(社)公共建築協会からLCCO2計算法(庁舎版)も示されている。

LCCO2*(LCCO2スター)も使用されるが、これは、CO2だけを対象とするLCCO2に、CO2以外の地球温暖化因子(フロン、メタン、NOx等)を地球温暖化係数GWPでCO2に換算して加えたものである。

エコラベル

エコラベルとは、環境ラベルともいい、製品等が環境に与える影響に関する属性情報をラベルの形で表示することにより、製品の差別化を図るものである。この環境ラベルは、

@消費者がより環境保全に配慮した行動を可能とする
A事業者に環境保全型製品の開発の動機を与える

など社会全体の環境保全に対しての意識に貢献する有力なツールと考えられている。

諸外国において、いくつかの環境ラベリングが実施されているが、1998年にISO14020(環境ラベル及び環境宣言‐一般原則)として国際規格化されている。ISOでは、環境ラベルをタイプT、U、Vというような分類に分け、検討されている。タイプTは、第三者機関の認定による複数の評価項目のある環境ラベルで、ドイツのブルーエンジェル、北欧4国のホワイトスワン、米国のグリーンシールなどがある。日本における例としては、(財)日本環境協会が実施しているエコマーク事業があり、製品の製造、流通、消費、廃棄等のライフサイクル全体での環境負荷を考慮した認定基準により、平成11年末で68種類3448商品にエコマークがつけられている。タイプUは、自己宣言による環境主張のときに使用するもので、シンボルマークにより表示するケースや新聞などを使った環境広告などがこれに当たる。タイプVは、環境報告カードによる環境ラベルで、ある製品のライフサイクルを通じて、環境負荷の状況を例えば棒グラフのような形で定量的に表示しようとするものである。

以上のほかに、ISO規格の対象となっていない環境ラベルもある。一つは、単一の評価項目による第三者機関による環境ラベルで、これらとしては国際エネルギースタープログラム、グリーンマークなどがある。また、廃棄時に分別回収するために材料を識別できるようにした、"メビウスループ""スリーアローマーク"等を使用したリサイクルマークなどもある。

グリーン庁舎

グリーン庁舎とは、「環境配慮型官庁施設」のことであり、計画から、建設、運用、廃棄に至るまでの、ライフサイクルを通じた環境負荷の低減に配慮し、わが国の建築分野における環境保全対策の模範となる官庁施設をいう。

具体的には、計画・設計に当たっては、「周辺環境への配慮」、負荷の抑制・自然エネルギー利用・エネルギーの有効利用・資源の有効利用などの「運用段階の省エネルギー・省資源」、「長寿命化」、「エコマテリアルの使用」、「適正使用・適性処理」の観点から対策を講じ、あらゆる環境負荷について、LCCO2を主たる指標として、可能な限り、定量的・定性的な評価を行う。

計画フローとしては、基本計画時に、

@建築・設備種目の決定
ALCCO2およびグリーン配慮度の大まかな目標値設定
Bグリーン化技術選定シートによる環境負荷低減技術の選定
Cグリーン庁舎チェックシートによる環境配慮の度合いの確認

を実施し、基本設計後、

DLCCO2計算法(庁舎版)によるLCCO2削減目標達成を確認
E実施設計着手

になる。

環境会計

環境会計とは、事業活動における環境保全のためのコスト及びその効果を可能な限り定量的に把握、分析、公表するための仕組みであり、企業の環境保全対策のコスト及び効果を適切に把握、評価しようとするものである。

環境庁では、平成12年5月に、「環境保全コストの把握及び公表に関するガイドライン〜環境会計システムの確立に向けて(2000年報告)」を公表した。これは、環境会計に対する企業の自主的な取り組みを促進するために、平成8年から調査検討され、平成11年3月に公表された「中間とりまとめ」を、充実、発展させたものであり、今後もその内容は随時補強されていく。

ガイドラインでは、環境会計の構成要素として、「環境保全コスト」「環境保全効果」「環境保全対策に伴う経済効果」を挙げている。環境保全コストとは、環境保全のための投資額及び費用額であり、公害防止コスト、地球環境保全コスト、資源循環コスト、環境保全管理コスト、研究開発コスト、社会活動コストなどがある。これらのコストによる環境保全活動が、どれだけ効率的、効果的に行われているかを明らかにするために、物量単位(CO2削減量、廃棄物排出削減量等)で把握するのが環境保全効果であり、貨幣単位で把握するのが環境保全対策に伴う経済効果である。このような環境会計の意義として、

@環境保全という観点から企業におけるコスト対効果を把握することで、経営上、環境上もより効率的な経営資源配分の管理や意思決定が容易になる
A企業には環境に関して社会に責任があるが、外部に開示することでその責任を果たすことができる

等が挙げられる。


参考文献

1)(社)産業環境管理協会:ライフサイクル アセスメント‐原則及び枠組み‐、1999
2)通商産業省環境立地局監修:環境総覧1999、通産資料調査会
3)石福 昭・伊香賀俊治:建築設備が地球環境に関わる問題の枠組み、空気調和・衛生工学、70-2(1996)
4)橋本 健・佐藤正章・野原文男:建築設備の環境負荷評価、空気調和・衛生工学、70-2(1996)
5)立田敏明・坂下行範:地球環境と21世紀の空調システムのライフサイクル評価、建築設備士、32-4(2000)
6)環境庁編:環境白書、平成12年版
7)建設大臣官房官庁営繕部監修:グリーン庁舎計画指針及び同解説、(社)公共建築協会、1999年4月
8)小川 歩:環境会計の確立に向けて、環境技術Vol29No8、605-609(2000)
9)國部克彦:環境会計のめざすべき方向性、環境技術Vol29 No8、610-614(2000)


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